北の海

海にいるのは、

あれは人魚ではないのです。

海にいるのは、

あれは、浪ばかり。

 

曇った北海の空の下、

浪はところどころ歯をむいて、

空を呪っているのです。

いつはてるとも知れない呪い。

 

海にいるのは、

あれは人魚ではないのです。

海にいるのは、

あれは、浪ばかり。

 

中原中也

在りし日の歌」所収

1937

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