春の庭

明るい昼の陽射しの中に
なにかとんでるものがある。
時々芝生を黒い影が掠める。
庭にはチューリップやぶらんこや
喜々として遊びたわむれる子供や美しい母親の笑い。お菓子の匂い。
しかしまだなにか足りないものがある。
この緑の風景にやがて其処へおちてくる。
飛んでるものは疲れて落ちる。
いつも不幸はこのような仕方で
突然あらわれる。

岡崎清一郎
「銀彩炎上」所収
1974

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