カタバミの花 咲いた
カタバミの花 咲いたの
きみのいない庭のアマリリスの鉢から
咲いた
咲いたの
カタバミの花
咲いたの
細い茎の先の
先に
むらさき色の花のひらいて
むらさき色の小さな花をひらいて
ひとつふたつみっつ
ひらいて
きみの庭のアマリリスの鉢から
いないきみの庭の片隅のアマリリスの鉢から
モコが庭で吠えてる
モコが庭の片隅で吠えてる
ウォン
ウォン
ウォンウォーーン
モコが吠えてる
いないきみの庭の隅の片隅の
モコが吠えてる
モコがウォンウォーーン
吠えてる
いないの
きみはもういないの
きみはもう遠くへ行ってしまったの
カタバミの花は咲いたの
カタバミの花は咲いたの
カタバミの花は咲いたの
カタバミの花は咲いたの
むらさき色の小さな花ひらいて
消えていったの
消えていくものは
細い茎の先のむらさき色の花ひらいて
細い茎の先の先に小さなむらさき色の花ひらいて
先なるものと
より先なるものと
なってきみは消えていったの
消えていくきみがいたの
いくつも消えていくきみがいたの
いくつもいくつも消えていくきみがいたの
消えていくきみをしずかにささえていたの
消えていくきみをしずかにささえていたかったの
消えていくものは消えていったの
消えていくものは消えていったの
野外に消えていったの
さとう三千魚
「詩集 はなとゆめ」所収
2014
「野外」はさとうさんの許可をいただいた上で掲載しております。
無断転載はご遠慮ください。
この詩を読んで興味を持たれた方は下記のURLも参照してください。
浜風文庫
さとうさんだけでなく、鈴木志朗康さんの詩も掲載されています。
http://satomichio.net/