穀物の種子

と或る町の
街角で
戸板の上に穀物の種子をならべて賣つてゐる老嫗さんをみてきた
その晩、自分はゆめをみた
細い雨がしつとりふりだし
種子は一齊に青青と
芽をふき
ばあさんは蹙め面づらをして
その路端に死んでゐた

山村暮鳥
風は草木にささやいた」所収
1918

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください