さく、と 食へば
さく、と くわるる この 林檎の 白き肉
なにゆえの このあわただしさぞ
そそくさとくひければ
わが鼻先きに ぬれし汁
ああ、りんごの 白きにくにただよふ
まさびしく 白きひびき
八木重吉
「秋の瞳」
1925
さく、と 食へば
さく、と くわるる この 林檎の 白き肉
なにゆえの このあわただしさぞ
そそくさとくひければ
わが鼻先きに ぬれし汁
ああ、りんごの 白きにくにただよふ
まさびしく 白きひびき
八木重吉
「秋の瞳」
1925