妄語

びおろんの胴の空間
孕める牝牛の蹄

眞實なるものには、すべて
或る一種の憂鬱がある。

くちつけのあとのとれもろ
麥の芽の青

またその色は藍で
金石のてざはり

ぶらさがつた女のあし
茶褐で雪の性

土龍の毛のさみしい銀鼠
黄の眩暈、ざんげの星

まふゆの空の飛行機
枯れ枝にとまつた眼つかち鴉。

山村暮鳥
聖三陵玻璃
1915

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