この島 何貫あるだろう
てのひらにのせて量りたいほどだ
瀬戸内海の名も無い島
それで一向浪にもつてゆかれもしない

予の家族十二人
総計百五十貫あまりあるとして
さて この島へ引移り
畑でも耕してくらしを立てるか

この島 どうやら歪みさうだ
この島 呻きごゑ立てさうだ
じつさいは百五十貫あまりでも
くらしを立てるとなると量り知れない重さとなる

七千万あまり犇く人間をのせて
よくぞまあ 沈まず浮いてゐられる
日本の四つの島 島 島
裾を水につけて
研ぎすました富士山などをのつけてゐる

竹中郁
竹中郁詩集」所収
1932

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