毎日夕方になると東のほうの村から
三人の親子のかつぎ屋が
驛に向つてこの部落をとおる
母親と十二、三歳の女の子と
まだ十になつたとも思われぬ男の子だ
めいめい精いつぱいに背負い
からだをたわませて行くかれら
ずん/\暮れるたんぼ道を
かれらはよく小聲をあわせてうたつていく
そのやさしくあかるい子供うたは
いちばん小さい男の子をいたわり
またみんなをはげまして
小聲の一心な合唱が
うず高い荷物の一かたまりからきこえる
それは露骨な生活の間を縫う
ほそい清らかな銀絲のように
ひと筋私の心を縫う
(いまどんなお正月がかれらにきているか)
伊東静雄
「「反響」以後」所収
1953
やっと私の探していたものをネット上で見つけられた気がしています。詩を突然に書き始めるようになり、二年が過ぎました。新聞紙面に投稿したりしていますが、特に人の心に響く詩を目指しています。伊藤静夫氏のキャラクターが不思議に思えてなりませんでした。古本を購入して夜寝るとき読んだりしていると、自分の気持ちに重なるところがあって——。特にわが人に与ふる哀歌にある「わたしたち」に心を動かされました。思いがけずこのサイトに出会えたことをとても感謝しています。ありがとうございました。
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