飛込

僕は白い雲の中から歩いてくる
一枚の距離の端まで
大きく僕は反る
時間がそこへ皺よる
蹴る 僕は蹴った
すでに空の中だ
空が僕を抱きとめる
空にかかる筋肉
だが脱落する
追われてきてつき刺さる
僕は透明な触覚の中で藻掻く
頭の上の泡の外に
女たちの笑いや腰が見える
僕は赤い海岸傘の
巨い縞を掴もうとあせる

村野四郎
体操詩集」所収
1939

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