拷問を耐える歌

お前らの手の皮と俺らの頬の皮とどちらが厚いか
お前らの鉛筆と俺らの指骨とどちらが太いか
お前らの指先と俺らの喉笛とどちらが先に押しつぶれるか
お前らの金をうちつけた靴裏と俺らの尻っぺたとどちらが堅いか
それをハッキリと呑みこませてやろう

無表情な俺らが
そろそろ焦り出すお前らに
いよいよおし黙る俺らが
いよいよ喚きたてるお前らに
それをハッキリと呑みこませてやろう

縊り殺して水をかけ
殴り殺して水をかけ
蹴殺して水をかけ
それが商売の
それで月給のあがる
傷をつけずに殺す術を知っているお前らに
それをハッキリと呑みこませてやろう

呑みこませてやろう ハッキリと
鉛筆
革紐
竹刀
鉄棒
指先
手のひら
靴裏の前に
声は立てずに気を失って行く俺らであることを
叫びは洩らさずに息を吹きかえして来る俺らであることを
俺らはプロレタリア 俺らは機械 俺らはハガネ 俺らは不死身だ

田木繁
「松ケ鼻渡しを渡る」所収
1934

3 comments on “拷問を耐える歌

  1. 翼賛体制に戻る祖父以来の
    ホメオスタシスの夢のなかで
    オナニーばかりしている
    裸の王様、
    安倍首相

  2. このような辛苦を耐え、勝ち取った諸々の権利を、今いとも容易く奪われそうになっている。
    戦前の暗い空気をはね返して、私たちの権利を守るためにまた戦おう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください