十五の少年

十五の少年

東京で靴磨きをしてゐた

うまくゆかないのであらう

職を求めて大阪へ行つた

大阪にも職はなかつた

東京へ戻るため汽車に乗つた

その汽車の中で少年は服毒した

苦しみだしたので助けられた

遺書があつた

遺書にはかう書いてあつた

もうこれ以上は悪いことをしなければ

生きてゆかれません

 

高橋元吉

「草裡」所収

1944

3 comments on “十五の少年

  1. 哀しいです。
    現実、このように他界してしまった人たち
    我が国、いや地球上に
    今まで どれほどいたことでしょう… *

  2. 「苦しみだしたので助けられた」という一節が特に印象に残りました。風刺ですね。

    1. 追記
      何度か読んで、少年の心の純粋さ、高潔さに気付きました。「もうこれ以上は悪いことをしなければ 生きてゆかれません」この言葉をもっと早く誰かに伝えることができたなら差し伸べる手はいくらでもあっただろうにと悲しくなります。

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