赤いマリ

私は野原へほうり出された赤いマリだ!

力強い風が吹けば

大空高く

鷲の如く飛び上る。

 

おゝ風よ叩け!

燃えるやうな空気をはらんで

おゝ風よ早く

赤いマリの私を叩いてくれ。

 

林芙美子

蒼馬を見たり」所収

1929

2 comments on “赤いマリ

  1. 林芙美子さんの作品を読んでると
    からだじゅうの血が騒ぎます。

    赤いマリ。
    詩のせかいに、自らを投影させておりました。

  2. 恐慌の年に書かれた詩だということに驚きました。
    今またそのような経済状況になり、この詩のような奔放な自由が愛しく思えるのでしょうか。

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