In Tongues

 for Auntie Jeanette

1.

Because you haven’t spoken

in so long, the tongue stumbles and stutters,

sticks to the roof and floor as if the mouth were just

a house in which it could stagger like a body unto itself.

 

You once loved a man so tall

sometimes you stood on a chair to kiss him.

 

2.

What to say when one says,

“You’re sooo musical,” takes your stuttering for scatting,

takes your stagger for strutting,

takes your try and tried again for willful/playful deviation?

 

It makes you wanna not holla

silence to miss perception’s face.

 

3.

It ain’t even morning or early,

though the sun-up says “day,” and you been

staggering lange Zeit gegen a certain

breathless stillness that we can’t but call death.

 

Though stillness suggests a possibility

of less than dead, of move, of still be.

 

4.

How that one calling your tryin’

music, calling you sayin’ entertaining, thinks

there’s no then that we, (who den dat we?), remember/

trace in our permutations of say?

 

What mastadonic presumptions precede and

follow each word, each be, each bitter being?

 

5.

These yawns into which we enter as into a harbor—

Come. Go. Don’t. says the vocal oceans which usher

each us, so unlike any ship steered or steering into.

A habit of place and placing a body.

 

Which choruses of limbs and wanting, of limp

linger in each syllabic foot tapping its chronic codes?

 

 Tonya M. Foster From “A Swarm of Bees in High Court

2015

 

言葉の中で

 

ジャネットおばさんに

 

1.

あんまり長い間、喋らなかったから、

舌はもつれ、つっかえて、

はりついてしまうのだ。天井や床に。まるで口が

ちょうど家であるかのように 中で舌は千鳥足だ。

 

昔、とても背の高い男を愛した。

キスする為に椅子の上に立たなければいけなかった。

 

2.

何と言えばいいんだろう。

「とっても音楽的ですねえ」なんて言われて。 どもりをしゃべくり芸に

ふらつきを気取りに

何度もやりなおしているのを わざとやっているおふざけだと思われて。

 

もう伝えようとする気持ちも失せた。

誤解している顔に向かうと 何も言えない

 

3.

朝早いわけじゃないの

太陽はとっくに昇っているんだけど ずっと

ふらついている 「ナガキジカンニワタル」

息の詰まるような静寂。 死と呼ばざるを得ないような。

 

だが、静寂は可能性を示唆するのだ

死んではいない 動く まだ生き続ける 可能性を

 

4.

挑戦を音楽と呼ばれるのはどう?

話しているのを娯楽扱いされるのは?

言葉を並べたてても、我々が思いかえし、復唱する事が全く無いとしたら?

(ワレワレトハダレナノダ)

 

何てものすごい思い込みが先走り、そして

追っているのだろう、ひとつひとつの言葉を、存在を、苦い実存を

 

5.

この大きな口の中に入っていくの?まるで港に入っていくように

来て。行って。やめて。海は語りかけ、先導する

われわれを。 操舵されるどんな船にも似ずに。

言葉を配置していく。

 

詩句と欠乏の唱和なのか、それとも

いつまでも続くコードで、音節のステップを踏みながら、よろめき、ぐずぐずしているのだろうか?

 

9 comments on “In Tongues

  1. This poem is uploaded under the permission of author.
    Thank you Tonya ! We start translation trial !

    詩をWeb上で翻訳する。それも皆の共同作業で。

    このアイデアが浮かんだのは、英語の現代詩には面白そうな作品がたくさんあるのに、翻訳がほとんどされていない状況を何とか出来ないかと考えたのがきっかけでした。

    私は文学作品の翻訳については全くの素人ですので、自力で訳すのは荷が重過ぎる。それでは、他のもっと翻訳に通じている方々の協力をいただきながら、訳すのはどうだろうか?そうして、幾つか良い訳が出来たら、コンペ形式で決定稿を決めるのはどうだろう。妄想は次々膨らんでいきます。

    思い切って、Tonya M. FosterさんにTwitterでお願いしたところ、快諾を得て、ここに”In Tongues”を掲載させていただく許可をいただきました。これから、この詩を皆さんの力を借りながら、日本語の決定稿を作るべく、Translation Trialを開始したいと思います。

    最初に掲載するのは私の試訳です。正直言って、訳とは呼べないほど、ひどいものだというのは自覚しています。詩の翻訳というあまりに高い壁は、全く登りきることが出来ないのではないかと、絶望的な気持ちにもなります。

    しかし、だからこそ、皆さんによる改善の余地がたんまりとあるわけだし、その分、このTrialが盛り上がるのではないかと思い、恥を忍んで公開することにしました。一応ここをスタート地点として、登攀を始めたいと思います。

    Webでの共同作業の利点として、作者に直接質問をすることが可能です。翻訳上の疑問点については、Tonyaさんに迷惑にならない範囲で確認していこうと思っています。

    In Tongues
    「言葉の中で」

    まずいきなり、タイトルで「言葉」と訳すか、「舌」と訳すか迷いました。
    恐らく両方の意味が込められているのだと、思いましたが、「言葉」としました。

    for Auntie Jeanette

    「ジャネット叔母さんのために」

    (第1連)

    Because you haven’t spoken
    in so long, the tongue stumbles and stutters,
    sticks to the roof and floor as if the mouth were just
    a house in which it could stagger like a body unto itself.

    You once loved a man so tall
    sometimes you stood on a chair to kiss him.

    (試訳)
    あなたは、あんまり長い間喋らなかったから、
    舌はどもり、つっかえて、
    屋根と床に張り付いてしまう。まるで口が家になってしまったかのように。
    その家の中では、自らに向かおうとする肉体のように舌がぐらぐらとゆれてしまう。

    あなたはかつて、とても背の高い男を愛した。
    時折、あなたは男にキスする為に椅子の上に立った。

    (疑問点)
    ・stick to the roof and floor
    ここに悩みました。舌が口の中で貼り付いて、うまく動かないことを言っているのだと思いますが、屋根と床と訳すと唐突な印象です。もっといい訳はないでしょうか?

    ・like a body unto itself
    それ自身に向かうbody?日本語として意味が通らないのですが、苦し紛れに上記のように訳しました。誤訳ではないのか、心配しています。

    (第2連)

    What to say when one says,
    “You’re sooo musical,” takes your stuttering for scatting,
    takes your stagger for strutting,
    takes your try and tried again for willful/playful deviation?

    It makes you wanna not holla
    silence to miss perception’s face.

    (試訳)
    こんなことを言う人に何と言おうか、
    「あなたはとてもとても音楽的だ」あなたのどもりをスキャットと思い
    あなたの言い淀みを気取りと思い、
    何度も言い直そうとすることを、意図的な、遊びごころによる逸脱と思っているのだろうか?

    それは、あなたに連絡するのを躊躇させる
    受容の表情を見逃す沈黙。

    (疑問点)
    ここはstutter, scatting, stagger, struttingと音の響きを楽しむところだと思いますが、日本語ではうまく表現できませんでした。もっと語呂のよい言葉はないものか・・

    ・sooo musical
    Soの強調だと思いますが、ニュアンス的にどのように訳したらよいのか、迷いました。ここでは「とてもとても」としましたが、もっと良いやり方があると思います。

    ・silence to miss perception’s face.
    一つ一つの単語の意味は取れるのですが、全体として意味が通っていないように感じます。誤訳ではないか、心配。

    (第3連)

    It ain’t even morning or early,
    though the sun-up says “day,” and you been
    staggering lange Zeit gegen a certain
    breathless stillness that we can’t but call death.

    Though stillness suggests a possibility
    of less than dead, of move, of still be.

    (試訳)
    それは朝でなく、早くもなく
    日の出は「Day」と言うであろうが。そしてあなたは
    「ナガイジカン」ぐらつかせる
    息をすることのない、沈黙を。死としか呼びようのないものを。

    沈黙は可能性を示すであろうが。
    死よりもむしろ、動きを、まだ生きてあることを。

    (疑問点)
    ・the sun-up says “day,”
    ここの訳は悩みました。「”day”と言う」は明らかにおかしいと思いますが、正解が分かりません。
    ・lange Zeit gegen
    ドイツ語でlong time to という意味です。なぜここでドイツ語が出てくるのか?
    どのようなニュアンスなのだろう?

    (第4連)
    How that one calling your tryin’
    music, calling you sayin’ entertaining, thinks
    there’s no then that we, (who den dat we?), remember/
    trace in our permutations of say?

    What mastadonic presumptions precede and
    follow each word, each be, each bitter being?

    (試訳)
    人はあなたのやろうとしていることを何と呼ぶのだろう?
    音楽? あなたの言っていることを何と呼ぶだろう? 娯楽? 考える
    そこには何も無い、それから我々は(我々とは誰のこと?)思い出し
    たどるのだろうか。言葉の並べ替えの中で。

    何と大げさな仮定が先行し、
    たどっているのだろう、それぞれの言葉を、それぞれの存在を、それぞれの苦い存在を

    (疑問点)
    Your tryin’を何とCallするのか -> music
    you sayin’何とCallするのか -> entertaining と考えましたが、自信がありません。
    その後のthinksとはどのようにつながるのか?

    ・there’s no then that we
    ここの訳も難しい・・・

    ・who den dat we
    then thatが訛っているのだと解しました。

    (第5連)
    These yawns into which we enter as into a harbor?
    Come. Go. Don’t. says the vocal oceans which usher
    each us, so unlike any ship steered or steering into.
    A habit of place and placing a body.

    Which choruses of limbs and wanting, of limp
    linger in each syllabic foot tapping its chronic codes?

    (試訳)
    港に入っていくかのように、我々はこの大穴に入ろうとしているのだろうか?
    来い。行け。よせ。能弁な海は言う、それは我々を先導する
    舵を取られ、あるいは舵を取っているどんな船にも似ずに。
    物を置くという習慣、体を置いている。

    手足と不足するものの、どの合唱なのだろう、もたついて、ぐずぐずする
    慢性的なコードを足で音節的に踏み鳴らす中で。

    (疑問点)
    ・Yawn
    あくびでは意味が通らないと思い、大穴と訳しましたが、両方の意味を持たせているのかもしれません。

    ・A habit of place and placing a body.
    ここの訳も悩みましたが、解が見えません。苦し紛れです。

    ・Which choruses of limbs and wanting, of limp
    linger in each syllabic foot tapping its chronic codes?
    limb, limp, lingerの音の響きがありますが、日本語での表現は難しいです。
    そもそも意味が全く通っていない!limbの訳語を見ても分からない!

    詩の翻訳は何と難しいのだろう・・・・

  2. 第1連について試訳をUpdateしました。

    Because you haven’t spoken
    in so long, the tongue stumbles and stutters,
    sticks to the roof and floor as if the mouth were just
    a house in which it could stagger like a body unto itself.

    You once loved a man so tall
    sometimes you stood on a chair to kiss him.

    (試訳)
    あんまり長い間、喋らなかったから、
    舌はもつれ、つっかえて、
    はりついてしまうのだ。天井や床に。まるで口が
    ちょうど家であるかのように 中で舌は千鳥足だ。

    かつて、とても背の高い男を愛した。
    時折、椅子の上に立った。彼にキスするために。

    ・Youを「あなたは」と訳さず、省略しました。
    ・Stumble, Stutter, Stick を「もつれ、つっかえ、はりついて」と訳してみました。音の響きの近さを表現できているでしょうか?
    ・stagger like a body unto itself 千鳥足だ、と訳しました。Untoのニュアンスをもっとよく表現できる訳語はないものでしょうか?

  3. 第2連の試訳をUpdateします。

    What to say when one says,
    “You’re sooo musical,” takes your stuttering for scatting,
    takes your stagger for strutting,
    takes your try and tried again for willful/playful deviation?

    It makes you wanna not holla
    silence to miss perception’s face.

    何と言えばいいんだろう。
    「とっても音楽的ですねえ」なんて言われて。 どもりをしゃべくり芸に
    ふらつきを気取りに
    何度もやりなおしているのを わざとやっているおふざけだと思われて。

    もう伝えようとする気持ちも失せた。
    無理解に対しての沈黙。

    ・Scatを「しゃべくり芸」としてみました。昔スキャットマンなんて、いましたが、日本語ではスキャットという単語はあまりポピュラーではないと思いまして。だからといって「ラップ」だと意味が違ってきますしね。

    miss perception’s face を「無理解」と訳しました。missは動詞ではなく、miss perception’s faceで一続きの単語として解釈しました。

    他に異なる解釈があれば、求むコメント!

    1. miss perception’s face は「誤解している顔」の方がいいですかね。「無理解」だと原義から外れすぎるような気がしてきました。

      silence to miss perception’s face.
      誤解している顔に向かうと 何も言えない

      というのはどうでしょう?何も言えないは訳しすぎかなあ?

      詩の翻訳は難しいですね。私は音の響きの再現は基本的に無理だと思うので、音の響きよりも意味を正確に伝えることを優先する方針で行きたいと思います。

  4. 第3連のUpdateです。

    It ain’t even morning or early,
    though the sun-up says “day,” and you been
    staggering lange Zeit gegen a certain
    breathless stillness that we can’t but call death.

    Though stillness suggests a possibility
    of less than dead, of move, of still be.

    朝早いってわけじゃねえよ
    お天道様はさんさんと照っているんだが ずっと
    ふらついている 「ナガキジカンニワタル」
    息の詰まるような静寂。 死と呼ばざるを得ないような。

    しかし、静寂は可能性を示唆するのだ
    死ぬまでには至らない 動く まだ生き続ける 可能性を

    though the sun-up says “day,”  dayを昼間と解釈しました。sun upは日の出なので、「日の出は昼間と言う」、これを「太陽は既に高く登っている。」と展開し、上記の訳にたどり着きました。
    朝の寝ぼけているような時間ではない。すでに太陽は高く登っているのに。といニュアンスです。

    lange Zeit gegenはドイツ語なので、カタカナで表示しました。英語では硬い言葉に聞こえているのでしょうから、日本語も硬めの言葉を用いました。

  5. 第4連のUpdateです。

    How that one calling your tryin’
    music, calling you sayin’ entertaining, thinks
    there’s no then that we, (who den dat we?), remember/
    trace in our permutations of say?

    What mastadonic presumptions precede and
    follow each word, each be, each bitter being?

    あなたの挑戦を音楽と呼ばれるのはどう?
    あなたが話しているのを娯楽扱いされるのは?
    我々が、言葉の並びを思い出し、たどることが全く無いとしたら?
    (ワレワレトハダレナノダ)

    何てものすごい仮定が優先し
    追いかけているのだろう、ひとつひとつの言葉を、存在を、苦い実存を

    Who den dat we ?の訳はWho then that weの訛りと解釈しました。そこでカタカナで訳文を展開しましたが、まだ確証はありません。

    1. 第4連のUpdateをさらに修正します。

      How that one calling your tryin’
      music, calling you sayin’ entertaining, thinks
      there’s no then that we, (who den dat we?), remember/
      trace in our permutations of say?

      What mastadonic presumptions precede and
      follow each word, each be, each bitter being?

      あなたの試みを音楽と呼ばれるのはどう?
      あなたが話しているのを娯楽扱いされるのは?
      言葉を並べ立てたとしても、我々が思いかえし、たどる時が全く無いとしたら?
      (ワレワレトハダレナノダ)

      何てものすごい思い込みが先走り、そして
      追いかけているのだろう、ひとつひとつの言葉を、存在を、苦い実存を

  6. 第5連の前半部のUpdateです。

    These yawns into which we enter as into a harbor?
    Come. Go. Don’t. says the vocal oceans which usher
    each us, so unlike any ship steered or steering into.
    A habit of place and placing a body.

    この大口の中に入っていくのか?まるで港に入っていくように
    来て。行って。やめて。海は語りかけ、先導する
    われわれを。 操舵されるどんな船にも似ずに。
    言葉を位置づける。

    A habit of place を上記のように訳してみました。

  7. 第5連後半部のUpdateです。

    Which choruses of limbs and wanting, of limp
    linger in each syllabic foot tapping its chronic codes?

    詩句と欠乏の唱和なのか、それとも
    いつまでも続くコードで音節のステップを踏みながら、よろめき、ぐずぐずしているのだろうか?

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